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2008年7月

内部者取引規制と開示規制

 内部者取引規制の必要性については、先日検討したとおりです。

 今日は、従来からあまり検討されていない内部者取引規制と開示規制との関係を考えてみます。

 内部者取引規制の重要事実と開示規制の臨時報告書の提出事由との間には、共通点があります。

 例えば、会社の合併や主要株主の異動は両者で共通しています。主要株主の異動については、両者で同じ概念を共有しています。

 そもそも、臨時報告書の意義は、明確に書かれた文献はないようなのですが、投資判断にとって重要な情報を適時に開示することにあります。

 他方、内部者取引規制においても、内部者取引の解除事由として、重要事実の公表が規定されています。

 これを前提に内部者取引規制を検討してみると、内部者取引規制は不公正取引の規制類型に入るとしても、開示規制類型の適時開示を促すという機能が存在しているものと考えられます。

 不公正取引規制と開示規制の融合としては、公開買付制度があることは以前検討したとおりです。

 このように考えれば、被害者なき取引といわれる内部者取引の規制の必要性はやはりあるといいうるのではないでしょうか。

 

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言語の天才

 「中国のM&A法制~制度運用の実証分析」という本を買いました。

 著者は楊東氏。2000年に中国から一橋大学に留学され、2007年当時は、中国人民大学法学院専任講師、中国人民大学法学院日本法研究所事務局長である方です。

 同書は中国のM&A法制の沿革、最新状況、事例等を詳細に記載するもので、中国からのクロスボーダーM&A時代の到来を意識又は予想している方であれば、「買い」の文献であると思います。

 本書の研究的意義を評価する立場にはありませんが、本書を読んでいてその日本語の正確性、論理性に驚かされます。

 本当に2000年に留学してきてわずか数年でここまでの日本語が書けるものなのか。同氏の略歴しか知らない私からすると、同氏は言語の天才に映ります。

 いずれにせよ、中国の条文を日本語に訳しただけであるような文献の多いなか、しっかりとした視座をもって中国のM&A法制を研究されている本書の意義は、研究者ではない私から見ても大きいものと思われます。

 そして、同時に、このような著作を作れる楊東氏は貴重な存在であると思います。

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内部者取引(インサイダー)規制の必要性

三連休も終わりですね。妻が妊娠中なので、旅行とか遠出はできませんでしたが、ゆっくり休め、ゆっくり勉強できたので、充実した休みでした。

この休みを利用して、普段あまり使わない金商法の行為規制について勉強してみました。

金商法の構造は、大きく分けで、①開示規制、②業規制、③不公正取引の規制があるわけです(その他、取引機構に関する規制もあります。)。①~③は所管している課は異なるのですが、相互に密接な関係があり、一つの分野で使っている概念を他の分野の制度に組み込んでいたりします。

例えば、主要株主や特定投資家などがこの例です。

ただ、異なる課が担当しているためか、若干わかりにくい概念の使用をしている例もあります。例えば、①の特定有価証券と③の特定有価証券は文言は同じですが、別の概念です。

このような複雑さが金商法の難解さを生み出している一因ともいえるかもしれません。

さて、不公正取引の規制ですが、ライブドアなどで注目を浴びた風説の流布などがありますが、課徴金の事例の数からしても、実務的な重要性からしても内部者取引が一番重要なのではないかと思います。

内部者取引とは、いわゆるインサイダーのことをいい、最近では、公認会計士によるものや野村證券の社員によるものなどがあります。

内部者取引規制の必要性は、これを放置すると証券市場の公正性と健全性が損なわれ、ひいては一般投資家の証券市場に対する信頼が失われることに求められるとされています(松本真輔「最新インサイダー取引規制」9頁)。ただ、内部者取引は被害者のいない行為類型であり、また、市場の公正性や健全性を内部者取引が害するのかについても疑問が呈されています(川村正幸「金融商品取引法」468頁)。

この点について、根本的な解決になるのかはわかりませんが、インサイダー取引の規制の必要性を考えるうえで、行為者側の視点からだけでは、この必要性をうまく説明することはできないのではないかと思われます。

行為者側からすると、インサイダーは被害者がいない、市場の信頼を害するからといっても、内部者取引のある市場の付けた価格は一般に信頼されているのではないか、等々の指摘が可能でしょう。

しかし、不公正取引の規制は、行政規制なのですから、行政側の政策論的な視点を忘れてはならないのではないかと思われます。

すなわち、行為者側からの指摘はわかるものの、行政側からすると、内部者取引のある市場は健全ではなく、また、信頼性が低いと考えているのではないでしょうか。また、内部者取引が横行する市場が世界の投資家から魅力ある市場とはとらえられないという点も行政の政策として内部者取引を規制する理由となるのではないでしょうか。

その意味で、前掲松本9頁の「学問的には格別、少なくとも実務上は、インサイダー取引規制の規制根拠は、証券市場の公正性と健全性に対する一般投資家の信頼確保にあると理解しておけば足りる」との指摘は正鵠を得たものと評価してよいのかもしれません。

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焼肉

 夏といえば焼肉。ビール好きの私にとってはたまりません。

 近くにおいしい焼肉屋があるので、2週間に1回ぐらいはそこで食べます。

 安い店なので、2人でたらふく食べても7千円位です。違うところで食べたら1万円くらいはいくでしょう。

 食べ物の値段って不思議ですね。野菜とかすぐに値段が上がったり下がったりします。どうやって値段がきまっているのやら。有価証券と同じで食べ物の値段が相対的なものであることの証明なのでしょう。

魚も原油高で秋頃にかけて値段があがりそうとのことですし、この夏は食べだめしたほうがよいかもしれません。

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意見表明報告書・対質問回答報告書3

 昨日は妻と美術館に行ってきました。私の趣味のひとつとして、美術館めぐりがあります。

 美術館めぐりのは飽きやすい私にしては続いており、大学生のころから続けています。

 絵の見方はそれぞれでしょう。美しいものを美しいものとして見る見方も一興。一人の画家を深く掘り下げてみるのも一興でしょう。

 私の絵の見方は推理に近いものです。絵をざっと見て、それから題名みて、さらに画家の人生、書かれた時期をみて、この絵で画家は何を伝えたかったのか。そんなことを想像しながら見るのが私流です。

 そのため、難解な絵であるほど面白い。というのが私の趣味で、妻は理解してくれませんが、ピカソとかが好きです。

 一定の限られた情報をもとに作者の意思を想像するというのは、法律学にも当てはまるものといえるでしょう。法律が芸術かは人それぞれの感じ方によるのかもしれません。

 さて、久々に意見表明報告書について検討してみましょう。

 対象会社が公開買付けに対して意見を表明することは、平成18年改正前には義務付けられていませんでした。

 もっとも、意見表明は敵対的、友好的の区別を問わず、広く行われていたそうです(清水「公開買付けの実務」251頁)。なぜなら、敵対的であれば、公開買付けに応じないように働きかけるインセンティブがあり、友好的であればなおさら、意見を表明するインセンティブが働くからです。

 この意見表明が平成18年改正によって義務付けられることになりました。これは、株主に対する十分な情報の提供の点から、意見表明を義務付けることが適当と考えられたからです。

 ただ、任意的になされていた意見表明を法令上の義務としたことについて、本当に良いことだけなのか、それとも義務化によって生じた問題があるのか、この点につい次回から考えてみようと思います。

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公開買付けと契約

暑いですね。あっという間に今年も7月。またビアガーデンの季節がやってきましたね。

私はビールが好きなので、飲み会に行くとビールばかり飲んでいます。

新作ビールがでるとそれもついつい試飲してしまいます。

結構面白いのは、日本人って苦い酒が苦手な傾向があり、ウイスキーとかを飲む人が減っていますが、なぜだか知らないけれど、ビールだけは辛口なんですね。バドワイザーと日本のビールを比べてみるとこの違いは明白です。

この違いは、やはりスーパードライと関係があるのでしょうか。

ちなみに私の好きな銘柄は、プレミアムモルツです。

さて話はまったくかわりますが、今回とりあげようと思うのは公開買付けと契約との関係です。

公開買付けも簡単にいえば株式の売買にすぎないのですから、株式を売買するという契約が背後にあるはずです。

しかし、公開買付けの建て付けを見ると、本当に契約が背後に存在しているのかが不明確な部分があります。

そもそも、契約は申込みの意思表示と承諾の意思表示の合致によって成立します(民521条、526条)。

他方、公開買付けは、公告により株券等の買付け等の申込み又は売付け等の申込みの勧誘を行うものとされています。

公告が買付け等の申込みである場合には、株式の所有者が承諾の意思表示を行えばよいのですが、売付け等の申込みの勧誘の場合には、買付者の承諾の意思表示があるのかが問題です。

公開買付け期間の終了後に公開買付通知書が買付者から応募株主等に送付されますが、それをもって承諾の意思表示を擬制するという考え方もありうるのかもしれません。

しかし、公開買付けに応募したあとそれを撤回することを解除としている法の建て付けからすると契約は売付けの申込みの意思表示をもって成立しているとの考え方も成り立ちえます。

この点について、公開買付けにおいては契約法理を変容しているとする考え方(清水「公開買付けの実務」198頁)もあります。

ただ、公開買付制度は行政規制としての側面がつよく、私法に介入する意思を立法者が持っていたかは疑問の余地があります。

ここは、私法の法理から、承諾の意思を推定するとか、応募をまって効力を有する条件付の承諾に意思などを検討するほうがしっくりくるのではないかと思います。

詳解公開買付けの実務

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排出量取引

最近、暑くなってきました。私の会社ではクールビズを奨励しているので、いつもノーネクタイの上着なしで出勤しています。秋になってからのネクタイが肩がこりそうで心配です。

暑いといえば、地球温暖化。サミットもあって地球温暖化はホットではないにしても、世間の注目を集める話題となりました。

それに付随して、排出量取引なる言葉も巷に飛び交っています。最近、排出量取引について勉強しようと思い、まずはと思い、「三菱総合研究所・排出量取引入門」を読み始めたところです。

私は昔から国際法が好きなので、気候変動枠組条約や京都議定書のことは知っており、排出量取引についても、幾つか論文を読んだことはあるのですが(といっても大昔)、いよいよ現実のものになるの時期にきたようです。

排出量取引を含む、クリーン開発メカニズム(CDM)、共同実施(JI)は、京都メカニズムといわれ、目標達成を費用効果的に行い、かつグローバルな温暖化対策と途上国等の持続可能な開発に寄与するための手法として取り入れられたものです(前掲三菱17頁)。

いわば、妥協の産物ともいえるのが京都メカニズムであり、交渉当時、EU諸国や途上国は懐疑的な姿勢をとっていたようですが、いまやEUは排出量取引をビジネスチャンスととらえ、積極的な態度をとっているのはなんとも皮肉です。

そもそも京都議定書の発効自体、アメリカの不参加のもと、ロシアの参加を受けてギリギリのところで発行したという経緯があるところです。

さらに、排出量取引という新しい措置の実施は、まさにいまから手探りで詰めていく段階にあるといえるのでしょう。

個人的には、何かをしないこと(二酸化炭素を排出しないこと)に対して、どのように財産的価値を見出すことができるのか、など素朴な疑問をいだいているところです(もう解決済みなのかもしれませんが)。

排出量取引は、今後も注目の分野になるでしょう。

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公開買付けの撤回

今日も公開買付けです。

公開買付けは、昭和46年の証券取引法の改正で導入されたもので、アメリカのウイリアムズ法をモデルとしたものでした。

いまでは、公開買付け制度は、株主・投資者が十分な情報の提供を公開買付者、対象者の双方から受け、熟慮のうえで株式を売るかどうかを判断できる枠組みとして機能していますが、当時は外資の買収に対する牽制を意図した制度だったそうです。

公開買付制度は情報開示だけではなく、公開買付者の行為を規制する側面を有します。

そのひとつとして、公開買付けの撤回の制限があります。

その趣旨は、公開買付者自身による撤回を自由に認めると、安易に公開買付けが行われ、対象株主等の立場を不安定にするとともに、株価操作につながりかねないからとされます(川村「金融商品取引法」183頁)。

ただ、まったく撤回が許されないとすると、不測の事態が生じた場合に公開買付者が過大なリスクを負うことになります。そこで、法令上、公開買付けの撤回事由が規定され、平成18年改正においても、買収防衛策に対する対応のため、撤回事由の拡大がなされています。

具体的な撤回事由は、

①発行者又はその子会社の業務又は財産に関する重要な変更その他の公開買付けの目的の達成に重大な支障となる場合、

②公開買付者に関し破産手続開始の決定その他の政令で定める重要な事情の変更が生じた場合、

です。①については、撤回事由を公開買付届出書で指定しておく必要があります。

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公開買付届出書1

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この前、「証券取引法」の注釈書が出ましたね。欲しいのですが、①金融商品取引法の注釈書ではなく「証券取引法」の注釈書であること、②値段が2万円を超えていて買ったのがばれると奥さんに怒られそうなことから、まだ購入していません。

買いですかね?

話は変わりますが、今回は公開買付けの話題です。

噂では、サブプライムの影響から、公開買付けの需要が減っており、M&A専門の弁護士さんはかなり暇なのだとか。

さて、現行の公開買付制度においては、公開買付けは公開買付開始公告によって始まります(27条の3第1項)。

公開買付公告において、公開買付けの目的、買付等の価格、買付予定の株券等の数、買付け等の期間その他内閣府令で定める事項を明示する必要があります。

この公開買付開始公告はEDINET上の電子公告などで行われています。

公開買付者は、公開買付開始公告を行った日に公開買付届出書及び添付書類を財務局に提出しなければなりません。公開買付届出書においても、買付等の価格、買付予定の株券等の数、買付等の期間が開示され、決済の方法、買付け等に付した条件、公開買付の目的、公開買付者に関する事項等が記載されることになります。

公開買付開始公告、公開買付届出書のいずれにおいても最も重要な情報は、買付け等の価格です。公開買付けに応じるのかについて株主にもっとも重要な判断材料になるからです。

また、公開買付けの目的も重要です。平成18年改正によって、公開買付けの目的の記載は充実されており、支配権取得または経営参加を目的とする場合は、支配権取得または経営参加の方法及び支配権取得後の経営方針又は経営参加後の計画について具体的に記載すること等が求められています。

この記載は微妙なところがあって、あまりにバラ色の未来を描きすぎると、将来自らを縛ることになるばかりか、株式を保有し続けることにインセンティブを与える可能性もあります。また、公開買付け価格においても影響を与えるでしょう。

そこで、政策投資目的や純投資という目的を記載し、公開買付け終了後、目的が変わるという方法も考えられなくはありませんが、虚偽記載罪のリスクがあるためお勧めできません。

このような微妙な記載事項をどのようにさばくのかが、法律家の腕の見せ所といえるでしょう。

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