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2008年11月

法に規定があるという意味

サミットも終わったのですが、思ったほど株価があがらない今日このごろです。

金融市場に起こった危機が、以下に多くの人々に影響を与えるのか。この業界に携わる人々は皆、心にとどめておかなければならないことです。

さて、今日は、憲法の話をしてみましょう。

憲法では、基本的人権の尊重、国民主権、平和主義、民主主義など、理想的な理念がうたわれています。

学部で憲法を勉強したことのある人は、「理想と現実は違う。法律は現実を規律するものではないのか。」と思ったことがあるかもしれません。

確かに、法律は現実を規律するルールです。

しかし、法律はそれと同時に、公的な文書として、権利を主張するものに正当性を与える側面をもちます。

たとえば、ある人が人権を侵害された場合。それをただ道徳的に救済されるべきであると主張するよりも、憲法で保障されている人権が侵害されており、この侵害は許されるべきではないと主張する方が、その正当性の面で大きな違いがあります。

特に憲法など国の理想的なあり方を規定する法においては、とくにこの正当性を与える側面の重要性は大きいといえるのではないでしょうか。

法はルールにすぎないと考えることは、場合によっては視野を狭くする可能性があります。法は政策の遂行手段として、あるべき社会への道を進むための正当性という武器を与えることもできるわけです。

他方で、法はそのルールという性格上、規制には適正があるものの、物事を促進する手段としては不向きです。このことは、今回の給付金騒動などは法の不器用さをあらわす事件であるのかもしれません。

法の利点、法の欠陥。双方を意識してこそ、法律を理解する道につながっているように思えます。

最近、格付け会社の規制が報道されていますが、金融危機を法の規制だけで乗り越えることは不可能でしょう。他方、効果的な規制を行う手段として法ほどすぐれている手段もありません。

法のメリット・デメリットを踏まえつつ、ひとつのツールとしての法の活躍が期待されるところです。

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金融サミット

金融サミットが今月の15日に開催されます。

金融サミットでは、各国が自国の経済対策を自慢しあう会合になりそうです。

今回の金融危機で思うのは、市場もそうですが、外交においても民主主義化が進んでいるということです。

各国が自国の経済対策を自慢し、金融という分野において自国への魅力を高める。または、リーダーシップを発揮しようとするのは、まさに選挙のようです。

この意味で、中国の50兆円を超える経済対策は、大きなアピールとなるのでしょう。もともと共産圏の国は、プロパガンダのうまさには定評がありますが、今回も中国のアピール上手が際立つのかもしれません。

これに対して、日本では20兆円の景気対策が総理から発表されたところですが、目玉の給付金については成立の目途も立っていません。給付の辞退などは、法律家からすると制度ですらありません。また、高速道路の休日一律1000円にいたってはどのような話になっているのかすらよく分かりません。

また、金融機能強化法の成立も新銀行等の問題で成立のめどが立っておらず、おそらくサミットまでに成立させることは相当困難であると思われます。

ここまでくると、後は空売り規制と格付け機関の規制しかありません。このような規制強化でどこまで世界の人気をとれるのか、正直疑問です。

もはやのんきに漫画を読んでる場合ではありません。

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トヨタショック

自動車メーカーの業績が悪化しています。ここ数日のニュースによると、

①トヨタ→76.3%の営業利益の減益

②GM→42億ドルの赤字

③フォード→1億2900万ドルの赤字

等々です。

これに加えて、各業界の再編が進んでいます。

①三菱UFJのモルスタに対する資本提携

②野村證券のリーマン従業員の引き抜き

③パナソニックの三洋電機の子会社化

④りそな銀行とりそな信託銀行の合併

他方で、M&Aの件数の減少も報道されたところです。

今後のM&A市場の見通しとしては、アクティブな事業拡大型のM&Aは減少するでしょうが、救済合併的なM&Aの件数は増えるものと予測されます。また、日本の株価の低さから、アジア系のSWFやファンドによるM&Aが増加する可能性があります。また、国内市場に閉塞感のある企業による、円高を利用した海外M&Aも件数としては多くはないでしょうか、生じてくるものと思われます。

企業価値研究会が今年議論していた買収防衛策の議論などは、かすんでしまいそうな状況になっています。なりふりかまわないM&Aが、これから続くことになりそうです。

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アメリカ大統領選挙

 アメリカ大統領選挙でバラク・オバマ氏の当選が確実となりました。アメリカの選挙制度は複雑で、今回の投票ので終わりではなく、後に選挙人による投票などの手続を経ることによって、オバマ氏は大統領になるそうです。

 オバマ氏の当選は歴史的な出来事であると同時に、アメリカの力の源は技術や知識や軍事力ではなく民主主義であることを強く感じた出来事でした。

 これから、オバマ氏をリーダーとするアメリカがどのような道を歩むのか。決して人ごとではなく世界に影響与える重要な事項です。

 さて、日本においても憲法において民主主義が謳われていますが、事実上の問題として、たとえ帰化したとしても元外国人ないしはその子孫を自国のリーダーに選出することはまず考えられないことでしょう。裁判員についても思うことですが、日本において本当に民主主義が根づいているのかは、疑問に思う時があります。

 これだけ他国の大統領選挙が盛り上がってくると、日本においても首相公選論が囁かれ始めるかもしれません。

 なぜ、日本は大統領選挙ではなく議員内閣制なのか。

 正確な答えは分かりませんが、憲法の起草時に、王政の残るイギリスの制度を参考にしたのかもしれません。

 いずれにせよ、現代において首相公選制(大統領制)をとること自体には、問題はないようにも思われます。また、これだけスピード感のある状況のもとでは、強いリーダーが求められています。

 さらに日本特有の事情として、一国のリーダーがころころと変わるという事情があります。一国のリーダーが短期間で変わるということは、対外的にも対内的にもよいことは一つもないと考えられるので、一定の期間身分保障のある型での首相公選制度(大統領制)はこの意味でも意義のあります。

 とはいえ、いくら器を整えても、中身が伴わなければ意味はありません。首相候補の資質に問題があるという点は否定できないのかもしれませんが、他方で選ぶ側にも、自ら選んだリーダーを最後まで支えるという覚悟が要求されていくことになるのかもしれません。

 日本に大統領選挙が行われるかは、日本にどれだけ民主主義が根付いているのかにかかっているのでしょう。

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法律と芸術

先日、フェルメールの特番を見ました。

法律と芸術には類似性があります。

それは、作る段階では、立案者(作者)のものであるが、一度、おおやけにされた以上、それをどのように解釈(評価)するのかは、利用者(鑑賞者)の自由であるという点です。

今回の特番でのコンセプトは、『フェルメールの絵画には謎が仕掛けられている』というものであると思われます。確かに、フェルメールの絵画には作者の仕掛けた謎があるのは確かであるとは思われますが、それをどのように解釈するのかは鑑賞者の自由であり、必ずしも偉い先生が言っていることが正しいわけではありません。

自分なりに絵を見て思ったこと、客観的状況とを総合して、どのように解釈できるのか。このような思索を巡らせるのも絵画鑑賞の楽しみであると思います。

法律も同じで、立案者の意思は参考にはなりますが、必ずしもこれに拘束される必要はなく、具体的な事情に応じ、どのように法令を解釈するのが妥当であるかに思索を巡らせることが、法律学の一つの楽しみであると思います。

その意味で、立案者が積極的に意見を発信されるのは立案者の意図を知る上で重要であるとは思われますが、立案者も自らの意思がいつまでも正しいわけではなく、もはや法律は一度、おおやけにされれば自らの手を離れていくものとの謙虚な姿勢が必要なのかもしれません。

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有価証券届出書と有価証券報告書

 先日、企業内容等の開示に関する内閣府令が改正され、新規公開用の有価証券届出書(2号の4様式)に四半期財務諸表の記載が求められることとなりました。

 2号の4様式を提出する会社は、まだ上場されているわけではないので、未だ半期報告書を提出する会社です。にも関わらず、今回の改正によって四半期財務諸表を記載することが必要となったわけです。

 この改正により、四半期報告書提出会社=四半期財務諸表、半期報告書提出会社=中間財務諸表という図式に変更が生じることとなりました。

 有価証券届出書と有価証券報告書がリンクしていることが当然のことと思われている金商法において、今回の改正は意外と大きな改正なのかもしれません。

 もっとも、金商法の母法の国であるアメリカでは、そもそも有価証券届出書と有価証券報告書(正確にはこれらに相当するもの)は根拠法自体が異なります。

 すなわち、有価証券届出書は1933年法(証券法)が、有価証券報告書は1934年法(取引所法)が規定しており、有価証券届出書を提出せずに有価証券報告書を自主的に提出することも認められています。

 これに対して、日本の有価証券届出書と有価証券報告書は、後者の提出事由として前者が定められており、上場に際しても通常は有価証券届出書が提出されていることが通常であることから、外形基準以外の場合には、有価証券届出書と有価証券報告書との関係はかなり密接なものとなっております。

 ただ、有価証券届出書は勧誘に際して投資家に情報を提供しようとするものであり、他方、有価証券報告書は年次の情報を投資家に提供しようとするものです。

 したがって、開示内容についてまで、両者の対応を厳密に要求する必要は必ずしもありません。

 今回の改正が有価証券届出書と有価証券報告書との関係にどのような影響を及ぼすのか。興味深い問題です。

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政策金利の引き下げ~交渉について思うこと~

日銀の金利が0.2%引き下げられました。これで、政策金利は0.3%となりました。

これに対するマーケットの反応は、日経平均452円安。手じまい売りを考えたとしてもあまりぱっとした効果は出ていないようです。

今回の日銀の利下げに対して、効果が薄かった要因としては、委員の意見が4対4と分かれたことから、すぐに追加の利下げは期待しにくいという観測が広がったことによるとの一部報道もあります。

しかし、委員の中で実質利下げに反対したのは1人で、他の3人は下げ幅に対して反対したというのが正確なところです。

通常金利の引き下げは0・25%が通常であるところ、今回は0・2%の引き下げに留まったことは、今後の経済状況をみつつ、残り少ない追加の利下げの枠を残そうとしたという見方も可能であると思われます。

このような小刻みな利下げというカードしかない状況を作り出したのはバブル崩壊後の低金利政策によるところであり、バブル崩壊後の緊急的な対策が、現在の緊急事態にたいする交渉の幅に制限をもたらしているようにも思われます。

いずれにせよ、今後、日銀の切れるカードはそれほど多くないものと考えられます。

ここ一週間で、政府、日銀は、金融機能強化法の審議入り、空売り規制、経済対策の発表、政策金利の引き下げ等のカンフル剤を次々と注入しています。

これは、金融の混乱期において、出し惜しみをぜず市場の混乱を鎮める意味では良いこととは思われますが、今後、日本経済が回復したときに、どのようにこの緊急措置を回収していくのか、そして、さらにその後の日本経済の緊急事態にどれだけ交渉の枠を確保することができるのか、等も含めて今回の政策金利の引き下げは考えさせれる問題だと思われます。

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