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2009年5月

包括的所得概念

現行の租税法において、所得税法が重要な地位を占めています。

所得税とは、人の所得に対して課される租税です。

この「所得」の考え方について、日本の所得税法は包括的所得概念と呼ばれる考え方を採用しているといわれています。

包括的所得概念とは、人が収入等の形で新たに得た経済的利得をすべて所得と考える考え方を言います。

すなわち、所得とは、期中消費額と期中純資産増加額との和と定義付けられることとなります。

包括的所得概念の対義語は、制限的所得概念ですが、所得税法34条1項において雑所得が定められており、包括的所得概念と矛盾する規定はなく、むしろ、それと親和的なみなし譲渡所得課税などの規定が存在していることから、日本法では包括的所得概念を採用しているとされます(佐藤・P5)。

さて、この所得額=期中消費額+期中純資産増加額の等式ですが、簿記の知識をもとにすると、若干違和感を感じなくはありません。

簿記の貸借対照表では、貸方に資金の拠出源泉である、負債と純資産があり、貸方にこれらの運用形態である資産があります。そして、資産を運用し、費用と利益との差額(または期首純資産と期末純資産との差額)が純資産の増加として把握されることになります。

このような簿記の考え方からすると、純資産の増加をもたらすはずの期中消費額とその結果の期中純資産増加額とを合算することについて、違和感があるわけです。

この違和感を解消するには、やはり「所得」とは何かを考える必要があるのでしょう。

ここで所得とは、あくまで人の心理的満足を図る便法であるという考え方に行き着くのかもしれません。

所得税法上は消費を心理的満足を生むものととらえ、簿記は消費を利益を生むものと捉えているように思われます。

確かに、個人にとって消費は心理的満足を有無ものです。これについて、法人の消費は心理的満足を得るものではないのでしょうか。法人の心理的満足自体、そもそも擬制とはいえますが面白い問題です。

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租税法律主義の形式性

租税法律主義は、あるべき法律を規律すべき内在的な規範を有しているのでしょうか。

他法の分野であれば、あるべき法律の形を導くべく、内在的な規範に基づく解釈論が展開されることもあります。

しかし、租税法律主義においては、行き過ぎた実質的解釈が租税公平主義や租税法律主義を害するおそれからか、かなり形式的に租税法律主義が捉えられています。

そもそも租税法律主義が権力者による恣意ではなく、課税される側の代表による法律という形式による租税規律を要求したという歴史的沿革からすると、あくまでその主眼が法律という形式に向けられているとしても不思議ではありません。実質的解釈の氾濫は、この租税法律主義の形式性を害しかねないものといえます。

また、ケースバイケースによる実質的解釈は不公平を生みやすいため、租税公平主義とからも問題となりうるのです。

このように、租税法律主義は租税の正当化根拠ではあるものの、あるべき租税を達成するための指導原理とはなりえないという、いわば矛盾した原則であるといえるのかもしれません。

租税をあるべき姿へと導くのは、他の法理、または法律という形式の外の立法論や立法過程に求めざるをえないものと思われます。

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